「兵庫県人権ジャーナルきずな」から 「子ども」をテーマにいsた
特集記事の依頼をいただきました。
以下のようにまとめてみました。
感想があればお伝え下さいね 依頼は1200字なのですが、
1600字になりました。 削ったほうが良い所なども教えてください
スクールカウンセラーとして子どもの心に寄り添って
学校のスクールカウンセラー(以下SCと略す)をしていると
子どもの様々な問題に遭遇します。
ある2学期の初め、担任から一枚の絵を見せられました。
「夏の思い出」と題した絵は一面真っ黒。暗い海にうっすらと人影、
でも海岸には誰もいない、とても寂しげな風景でした。
実際、この子(以下A君)はひどく痩せて不安そうな目をしていました。
A君の問題行動は万引でした。
担任は家族背景として「震災後、父母が離別、
母と一緒に実家に戻ったのですが、ほどなく母が出奔。
A君だけが祖父と若い母の妹のもとに取り残された」と話されました。
担任に呼び出された叔母は、
「Aのせいでお勤めにも遊びにも行けず、私の青春は台無し。
それなのに万引きをしたり悪戯をしたり、私は謝ってばかり。
Aを見ているとムシャクシャして殺したくなる」とおっっしゃったとか。
暗澹とした気持ちになると同時に、A君の孤独の深さを思いました。
万引きの「戦利品」の大半は、友達にばらまかれたようでした。
貢ぐことで歓心を買い、仲良くして欲しかったのでしょう。
どんな理由にしろ、万引きはいけません。
悪いことは悪いと心底から分かってもらう必要があります。
けれども問題が起こるときは、何かの信号、「変化の時」でもあります。
A君の叔母は、担任の薦めでSCに会いに来て下さいました。
お話をうかがいながら叔母の苦労をねぎらい、学校で感じるA君の良さを伝えました。
そして、
「今が大事な時期、良くも悪くも変われます。どうせなら良く変わらせたいですよね。
一日一つずつA君の良い点を見つけて褒めて下さいませんか?」とお願いしました。
「今が大事な時」という感覚は共有いただけたようでしたが、
帰り際に「叱ることは山のようにあります。でも褒めることなんて何もないんです」
と言って立ち去られました。叔母の心の叫びを感じました。
ただSCとしては手をこまねいているわけにもいかず、
担任と以下のように相談しました。
しばらく学校での些細な問題行動は全て伏せ、毎日何か一つ良い行動を見つけ、
連絡帳にひらがなで書き込んでいただく、
叔母が見てほめてくれるかもしれないし、
もし叔母がほめてくれなくても、A君が読めば、
担任の温かい気もちが通じると考えました。
担任は毎日毎日書き込んで下さいました。
ある日は「速く走れました」
別の日には、「今日は給食を一番に食べられました」。
結果として、A君は少しずつ落ち着き始め、表情が明るくなり、
背が伸び始めました。そして問題行動は目に見えて減っていきました。
運動会の日、楽しげに運動場を眺める叔母がいました。
3学期に入り、「赤ちゃんのときから今までの生い立ちの記」を作るときがきました。
A君の家では、この子を捨てた両親は「ろくでなし」として全てのアルバムが封印され、
A君の目に触れない場所にしまわれていたようでした。
担任の願いに応じ、祖父はA君に両親の写真を見せながら、
「今は一緒に暮らせていないけれど、父と母はおまえが生まれたとき、
どんなに喜んだか、どんなに愛してくれたか」を話されたそうです。
赤ちゃん時の写真を模写したA君の絵は素晴らしいものでした。
色とりどりのクレパスで塗られ、髪の毛の一本一本まで丁寧に描かれていました。
学校は社会の縮図です。
不登校、いじめや非行の他にも、ありとあらゆる問題が存在します。
も
ちろん問題の芽が子どもの特質から生ずる場合もありますが、
背景には家庭や社会の問題が見えかくれしていることが少なくありません。
その子を取り巻く状況を深く理解した上で一人一人を眺めると、
子どもたちはずいぶんけなげに生きていると感じます。
子どもの問題行動、そこに潜んでいるSOSを敏感にキャッチし、
担任や家庭と連携をとり適切に支援できた場合、
子どもたちは見違えるほど成長を遂げます。
SCとして子どもの心により添える恵みに感謝し、
これかかもピンチをチャンスに変えていけるよう、励みたいと思っています。