あなたは人のために頭を下げられますか?

こんな仕事をしていると、たくさんの方に出会う。
しみじみと温かくなるときがある。最近、心に残った話

あるお母様との会話から。許可をいただき。

「人に好かれる良い息子なのだけれど、
朝、起きられなかった  結果、いつも遅刻

どんなに先生方が励まし、叱って下さっても、本人には危機感がない。
スポーツだけは 超一流。
毎日 部活の時間には間に合うように学校へ、そんな高校生活だった。

今まで何とか進級はこなしたけれど、いよいよ卒業の段になって、
ストップがかかった。

多くの先生方から 「こんな状態で卒業をさせるわけにはいかない」
「約束の時間に来られない、決められたことを守れないのでは、
社会人として やっていけない。
この学校の卒業生として 安心して送り出すわけにはいかない」

家庭の事情があり、母は朝、昼、場合によっては夜の仕事をこなしながら、
家族を支えてきた。

それでも学校の呼び出しに応じ、何度も何度も学校へ出向き
「この子は、今、放り出されたら、高校中退の身に甘んじ、
それ以上の努力が出来ない子になってしまうと思うのです。

この子が育っていくときに、家族内にトラブルがあり、
この子の健全な成長を妨げたかもしれず。

親バカと言われようが、過保護と言われようが
18歳までは親の責任と思っています。

この子のために、どうぞ何とか卒業させてやって下さい」と
頭を下げて回った。

学校では、何度も何度も話し合いが行われ、
この母に免じてと 何度かチャンスを与えられたが、
それでも、高校生の息子は相変わらずで、
先生方が設定した課題をズルズルと破り続けた。

担任が奔走してくれているのを 母は知っていたが、
息子の変化のなさに、母自身も、腹をくくり、
最後の通告を受けるために、母子で学校へ出向いた。

その日、部屋で待機していると、次々と先生方がやってきて、息子に苦言を呈した。
息子はふてくされ、姿勢が崩れ、
もう、どうでも良いとの空気を醸しだし、母は必死で耐えた。

最後に校長先生が部屋に入ってきて、
子どもに問うた。
「君は、今まで誰かのために、頭を下げたことがありますか?」
息子、きょとんとして、「いいえ」

校長「今回、君の卒業認定のことで、どれほどの人が 君のために、
走り回り、一生懸命頭を下げてくれたか、分かっていますか?」
と尋ねた。
今まで 他の先生方から 「ろくでもない奴や」などと散々叱り続けられていた息子は
穏やかな口調に 驚きながらも
「担任、部活顧問」など 次々と名前をあげていった。

すると校長は 「あなたは一番大事な人を忘れていますよ。今、横で
君のために、一生懸命頭を下げてくれている人です」

「あ、おかん」
校長は「今回、友達からも一緒に卒業させて欲しいとの嘆願書がたくさん届きました。
たくさんの友達も、君のために頭を下げてくれたのです。

私は、将来、君が誰かのために頭を下げられる人になると信じています。
そのために最後のチャンスをあげたいと思います。
明日から落とした単位すべてについて、補習を行います。
すべてをクリアしたら卒業を認めます。
君は、頑張ると約束出来ますか? 」

その頃には、息子の背筋が伸び、まっすぐな目で校長を見つめ
「はい」と頷いていた。

翌朝から、彼は朝一番に起き、一限目から最終6時間目まで彼だけのための
補習授業を受けに通っている。あまりに落とした単位が多いため、
みんなと同じ2月半ばではなく、3月に卒業はずれ込むけれど

今の彼をみていると大丈夫だと感じる。
一日、1時間でも休めば、卒業はパーになるけれど、
今までと表情も態度も違う。

卒業直前に大きく成長させていただいたことに感謝している」


常々、素晴らしい母と感じていたけれど、
学校も、 最後の最後で、子どもを大きく育ててくれていると感じる。

母の目にも涙が浮かんでいたが、
不覚にも 私ももらい泣きをしてしまった。


あなたは人のために 頭を下げられますか?


 


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