今、日本を取り巻く現況は 厚い雲に覆われている感があるのは、
私だけだろうか?
春 3月 卒業のとき、
関わっている中学でも 卒業式を迎える。
身体も心も大きく育った 子どもたちの姿。
この学校は 初めて入った4年前、名門のはずなのに、なぜかざらっとした嫌な感触があった。
子どもが挨拶をしない。校舎のなかに砂と埃。歩きながら唾を吐く子。
いやな予感が どんどんふくれあがり、
クラスが、学校が、どんどん荒れていく現場に立ち会うことになってしまった。
無法地帯に近い状態になり、
最後には、教室のドアも蹴破られ 冷たい空気が教室へ入り込むようになった。
大人しい子どもたちが困った顔をして、
『先生の言っていることが聞こえない』『教室が怖い』『行きたくない』と訴え始めた。
とうとう、「こんな学校に子どもは預けられない」と 転校を申し出る保護者まで出てきた。
どこから手を打って良いのか、おろおろしている私の横で、
校長も苦渋の表情を浮かべていたが、ある日、的確に手を打ち始めた。
それは校内美化。
校舎の改築工事が終わったとたんに、きれいになった校舎は下足禁止となった。
その後、矢継ぎ早に、ペンキの塗り替え、外壁にハンギングフラワー
学校にいくたびに、何かた新しくなり、何かがきれいになっていた。
メンバーも替わった。
大幅な人員入れ替え。
魅力的な教員 子どもを引きつける授業をできる人を集めてくる。
校長にとって学校改善3種の神器。
授業、部活、学級経営
徹底した校内美化、 質の良い教師の導入、 子どもに徹底して規律を守らせる。
しかもそのすべてを 子どもの中から生み出させるように、
生徒会の組織化
保護者を巻き込み、校内美化
そして挨拶運動。
ある日、タクシーの運転手である保護者が 帰宅後、
「もうU中は大丈夫だよ。 父さんが夜遅くに流しているとき、
校舎の廊下に人影がして、右へ左へ移動しているから、何をしているんだろうと
目をこらすと
校長と生徒指導担当が 廊下をモップで掃除していた。
それから通るとき、気をつけてみていると、ほぼ毎晩毎晩!」
そして5月、職員室にきている子どもの表情をみたとき、
ああ、U中はもう大丈夫!と確信した。
素直なはにかみと 先生を信頼しきった笑顔
大人に対して安心しきった表情の 子どもがいた!
学校でも会社でも、社会でも崩れるのは、一瞬! 立て直すのは大変。
でも、こんなに見事に立て直した学校を体験したのは、初めて。
丸々3年かかったけれど、今は見事な中学。
子どもたちが 笑顔で行き交い、爽やかな空気が満ちている。
リーダーは ビジョンが必要。
あなたは この学校を、この会社をどの方向へ向けていきたいですか?
数年後に学校、あなたの会社がどの方向を目指せば良いと考えますか?
その具体的手立ては?
卒業式を迎え、
一番、味わえるのは、一番 頑張った人
この春 退職される校長が、一番 卒業式を味わっていらっしゃると感じる。